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このドキュメントの内容

  1. ダイレクト ブート中に実行するためのアクセスを要求する
  2. 端末暗号化ストレージにアクセスする
  3. ユーザーによる端末のロック解除の通知を受信する
  4. 既存のデータを移行する
  5. 暗号化対応アプリをテストする

Android N は、電源を入れたときにユーザーが端末のロックを解除していない場合、セキュリティで保護された ダイレクト ブート モードで実行します。 この機能をサポートするため、システムで次の 2 つの保存先を使用できるようになります。

デフォルトで、ダイレクト ブート モード中はアプリは実行されません。ダイレクト ブート モード中にアプリで操作を実行する必要がある場合、このモードで実行するアプリ コンポーネントを登録できます。 ダイレクト ブート モードでアプリの実行が必要になる一般的な使用例は次のとおりです。

ダイレクト ブート モードで実行中にアプリがデータにアクセスする必要がある場合は、端末暗号化ストレージを使用します。 端末暗号化ストレージにはキーで暗号化されたデータが保存され、端末がセキュアブートに成功した場合にのみこのデータを使用できます。

ユーザーの認証情報に関連付けたキーで暗号化しなければならない PIN やパスワードなどのデータには、認証情報暗号化ストレージを使用します。認証情報暗号化ストレージは、ユーザーが端末のロック解除に成功した後に使用可能になり、ユーザーが端末を再起動するまでアクセスできます。 ユーザーが端末をロック解除した後にロック画面を有効にしても、認証情報暗号化ストレージはロックされません。

ダイレクト ブート中に実行するためのアクセスを要求する

ダイレクト ブート モード中にアプリを実行したり、端末暗号化ストレージにアクセスしたりするには、アプリ コンポーネントの登録が必要です。 アプリをシステムに登録するには、コンポーネントが 暗号化対応するように指定します。コンポーネントが暗号化対応するよう指定するには、マニフェスト内で android:directBootAware 属性を true に設定します。

暗号化対応コンポーネントを登録しておくと、端末を再起動したときにシステムから LOCKED_BOOT_COMPLETED ブロードキャスト メッセージを受信できます。 この時点で端末暗号化ストレージが使用できるようになり、ダイレクト ブート モード中にコンポーネントが実行しなければならないタスクを実行できます。たとえば、スケジュールしたアラームのトリガーなどが該当します。

次のコード スニペットは、アプリのマニフェスト内で {@link android.content.BroadcastReceiver} を暗号化対応として登録し、LOCKED_BOOT_COMPLETED のインテント フィルタを追加する方法の例を示しています。

<receiver
  android:directBootAware="true" >
  ...
  <intent-filter>
    <action android:name="android.intent.action.LOCKED_BOOT_COMPLETED" />
  </intent-filter>
</receiver>

ユーザーが端末のロックを解除すると、すべてのコンポーネントは端末暗号化ストレージと認証情報暗号化ストレージの両方にアクセスできます。

端末暗号化ストレージにアクセスする

端末暗号化ストレージにアクセスするには、 Context.createDeviceProtectedStorageContext() を呼び出して追加の {@link android.content.Context} インスタンスを作成します。このコンテキストで実行されたストレージ API 呼び出しはすべて、端末暗号化ストレージにアクセスします。 次の例では、端末暗号化ストレージにアクセスして既存のアプリのデータ ファイルを開きます。

Context directBootContext = appContext.createDeviceProtectedStorageContext();
// Access appDataFilename that lives in device encrypted storage
FileInputStream inStream = directBootContext.openFileInput(appDataFilename);
// Use inStream to read content...

端末暗号化ストレージは、ダイレクト ブート モード中にアクセスが必要な情報のみに使用してください。汎用的な暗号化された保存先として、端末暗号化ストレージを使用することはできません。ユーザーの個人情報や、ダイレクト ブート モード中に特に必要ではない暗号化されたデータには、認証情報暗号化ストレージを使用してください。

ユーザーによる端末のロック解除の通知を受信する

再起動後にユーザーが端末のロックを解除すると、アプリは認証情報暗号化ストレージへのアクセスに切り替えて、ユーザーの認証情報に応じて通常のシステム サービスを使用します。

再起動後、ユーザーが端末のロックを解除したときに通知を受信するには、実行中のコンポーネントから {@link android.content.BroadcastReceiver} を登録して、ACTION_USER_UNLOCKED メッセージをリッスンするようにします。 または、既存の {@link android.content.Intent#ACTION_BOOT_COMPLETED ACTION_BOOT_COMPLETED} メッセージを受信することもできます。このメッセージは、端末が起動してユーザーが端末のロックを解除したことを示すようになりました。

UserManager.isUserUnlocked() を呼び出して、ユーザーが端末のロックを解除したかを直接問い合わせることもできます。

既存のデータを移行する

ユーザーが端末をアップデートしてダイレクト ブート モードを使用できるようになると、既存のデータを端末暗号化ストレージに移行しなければならない場合があります。 Context.moveSharedPreferencesFrom() および Context.moveDatabaseFrom() を使用すると、設定およびデータベースのデータを認証情報暗号化ストレージと端末暗号化ストレージ間で移行できます。

どのデータを認証情報暗号化ストレージから端末暗号化ストレージに移行するかは、慎重に判断してください。 パスワードや承認トークンなどのユーザーの個人情報は、端末暗号化ストレージに移行しないでください。 場合によっては、この 2 つの暗号化された保存先に、データセットを振り分けて管理する必要があります。

暗号化対応アプリをテストする

新しいダイレクト ブート モードを使用して、暗号化対応アプリをテストしてみましょう。ダイレクト ブートを有効にする方法は 2 つあります。

警告:ダイレクト ブートを有効にすると、端末上のすべてのユーザーデータが消去されます。

Android N がインストールされたサポート対象端末では、次のいずれかの方法を使用してダイレクト ブートを有効にします。

テスト端末でモードの切り替えが必要な場合、エミュレーションされたダイレクト ブート モードも使用できます。 データが失われるおそれがありますので、EMULATED モードは開発中にのみ使用してください。 エミュレーションされたダイレクト ブート モードを有効にするには、端末でロック パターンを設定します。ロック パターンの設定時にセキュリティで保護されたスタートアップ画面について確認メッセージが表示された場合は、[No thanks] を選択します。次に、次の adb shell コマンドを使用します。

$ adb shell sm set-emulate-fbe true

エミュレーションされたダイレクト ブート モードを無効にするには、次のコマンドを使用します。

$ adb shell sm set-emulate-fbe false

これらのコマンドを使用すると、端末が再起動されます。